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特殊工具

ある特別な目的のためだけの道具がある。
他には何の役にも立たないが、それがなければ始まらない。
自転車整備をするなら必ず持っているのが、このコッタレスクランク抜きか。
ガタついて乗れなくなった自転車のクランクを抜いてみると、
中から金属の弾がバラバラとこぼれ落ちた。
ベアリングが入手できるまでの応急処置として、丁寧に組み付け直しておいた。
多少の異音があるが暫くは走れるだろう。

これも刈り払い機が本来の目的に使えなくなってしまう特殊な道具か。
無農薬水田に生える水草を腰を曲げて手で抜くのは難儀だ。稲の葉先で目を突く恐れもある。
そこで立ったまま作業できるよう自作したもの。
できるだけ水の抵抗を受けないよう小型の歯を使用し、
稲を傷つけないよう珈琲缶でガードを作った。

たったひとつのずば抜けた才能で世の役に立ち、
とりたてて人に感謝もされず、静かに暮らす。
そんな人に私はなりたい。

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